夜は短し歩けよ乙女

 10月に京都へ旅行した際に、せっかくなので京都が舞台の映画をホテルで鑑賞しようと思い、何気なく選んだのがこの作品のアニメーション。普段の私なら絶対に”空想の世界なのか現実なのかよくわかんない”と苦手に感じる世界観なのですが、何故かその世界観にどっぷりハマってしまい、小説も購入しました。

夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦


以下あらすじ(ネタバレ注意)

後輩である少女に恋をしている「私」は、彼女という城の外堀を埋めるべく日々彼女を追い掛け、「ナカメ作戦(ナるべくカのじょのメに留まる)」を実行し、その目に留まろうとしている。しかしその彼女はなかなか「私」の想いに気づいてくれない。2人は奇妙な人物に出会い、奇抜な事件に巻き込まれてしまう恋愛ファンタジー。
(Wikipediaより引用)




 愛すべきキャラクターってまさにこの小説に出てくる子たちを言うんだろうと思いました。黒髪の乙女も先輩も学園祭事務局長も樋口君も羽貫さんもパンツ総番長もみんなみんな魅力的。特に私は、男にしておくのがもったいないとされている美貌を持ち、女装趣味がある学園祭事務局長が一番好き。学園祭のフィナーレで女装して歌う前に黒髪の乙女たちに言う、
「君たちもフィナーレに来ればいい。悩殺してやろう」
って台詞が最高にお気に入りです。是非とも悩殺してください。アニメver.の学園祭事務局長もとっても良かった。声優を担当されたのは神谷 浩史さん。私的cv神谷 浩史No.1かも。

 あとは下鴨神社の古本市での少年の、本はすべて繋がっているって話が印象的。アニメ観たときもそこですごーっ!って、なりました。多分この本も違う本と積み木みたいに繋がってる。

 独特な文体ではあったけど、大まかにストーリーを知っていたのをもあってスムーズに入っていけました。非日常的な単語がかなり多く出てきて、私が普段読む小説の雰囲気とは全然違って読みごたえありました。ジャンルで言うと恋愛小説なのかな。でもこの小説を読んで、「恋愛したい」よりもむしろ、「お酒呑みたい」とか「大学行ってみたい」って思ってしまいました(笑)小学生からやり直して、京都大学入学したい。小学生からのやり直しじゃ遅いか~。もはや母体からか~。

 夜を練り歩く乙女と、そこで起きる様々な珍事。自らの行動によって素敵な出会いを手に入れるも、みすみす見過ごすも、全ては自分次第。さすがに先斗町を一人で呑み歩いて、行く先々の呑み会に混ぜてもらって、学祭でいきなり主役やってってのは私には到底できないけれど、その行動力と好奇心は黒髪の乙女を見習いたいです...。

 あと、同じ森見登美彦作品の"四畳半神話大系"はこの作品と登場人物がリンクしてるらしい。辻村作品好きなら当然そういうリンクは大好物なので、今から読むのが楽しみ。(既に本棚に控えている)

 それにしても、京都大学の大学生、先斗町で呑み歩き、下鴨神社の古本市で本探しに学園祭...ぐわーってこう、自分の心の奥底の好み?というのかツボを刺激してくるこの感じ。まだこんな直球ドストライクな物語があるなんて。これだから読書は止められないわ。



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